家庭とは、(memo)

“家の中”を認知科学する―変わる家族・モノ・学び・技術

“家の中”を認知科学する―変わる家族・モノ・学び・技術

この著書の大きな特徴は、「家」を研究するといっても、
いわゆる"house"という「もの」や「家族」という集団を対象としてるのだけでなく、
それらプラスそこのただよう空気や雰囲気も含めた"home"「家庭」を対象にして分析されてること。

それにいろんな学者がそれぞれの学問分野の切り口からみてるからおもしろい。
インターネット、とか。
わたしこういうオムニバス系好きみたい。
ちょっと横道にそれるけど、『なぜ人は涙を流すのか』もそんな構成だった。

人はなぜ泣き、なぜ泣きやむのか?―涙の百科全書

人はなぜ泣き、なぜ泣きやむのか?―涙の百科全書

ちょっと面倒だからメモと感想程度に。

家族というものは基本的に解体していくものである。
しかし今は家族の機能が外化している。

そりゃ70年代頃以前とかと比べると、家族は解体しやすいのかもしれない。
従来なら教育や医療、育児・介護、情緒の安定の機能、を家族に求めていた。
今では「家族」を作り出さなくても欲求・必要は満たされてしまう。
では家族に何を求めるんだろう。
やっぱり暖かさ・気持ちを落ち着かせる場として重要だとわたしは思うし、著者もそういう。
でも、

身体的にも精神的にも活力が得られる暖かさが家族にはあり、
それは変わらないだろう。
では今は誰が暖めるのか。

誰が暖めるんでしょう。
…。

結婚あるいは相手に対する満足度の経年的変化は、
妻と夫では違ったパターンを示す。
夫はだいたい満足しつづけているのに対して、妻は満足度が低下していく。
特に中高年の妻の不満が。
それは妻が職業を持っている人の方が大きい。

なんだか妻って強欲なんかなーなんて思ってたら、

夫は妻に対して「威圧」、「無視回避」が多く、対話が不在になりがち。
対等でない。
もっとも対等かつ親和的な共感的態度について、
学歴や社会的地位地域など、調査すると唯一有意差な要因として見出されたのは
「妻の収入」。
専業主婦の夫の共感得点は最も低く、
妻が収入がありそれが高いほど夫との相互共感得点は高くなる

なるほど、対等な関係じゃないから不満が募って、
結果としてだんだん満足度が低くなるのか。
それも「稼ぎ手の夫と主婦の妻」っていう構造が陥りやすい。
つまり妻が夫より稼ぎだしたら、女性の満足度は高まるのか?
(妻年収UP→夫Wow!→妻と夫の関係性が対等→話も通じる→夫婦ともに満足)
だいたい主婦になると、夫と話が合わないのって本当なのかな。
わたしの家は両親共働きだから、そのへんよく分からない。

はい、次。

育児をする父親は「子どもは分身」感が低く、
育児をしない父親ほど「子どもは分身」だと思っている。
育児体験により子どもは自分と対立する他者として感じる。
子育てしない父親は子どもと自分に対立する拮抗の体験がないため、
ロマンチックなことを言ってのける。

へー、そうなの?
よく女性は「子どもはわたしの分身よ〜」なんていう人はよく聞くけれど、
男性もそうなりがちで、しかも育児をしない父親の方がそう思うだなんて。
夢見がちですよ。イクメンが普及するまでにはまだ遠いかな。

日本人母親におけるしつけの特徴として、「〜してくれないとお母さん悲しいな」など
感情に訴えて暗示的に導くことだった。
でも女性の高学歴化により、「〜しなさい」など、明示的に命令する母親増えた。米国化。
子どもとの分身感は減退し、自分とは別の存在だという意識が強くなってく。
生きがいは、子どもや子育てとは違う認識に変化。

あら、わたしは昔ながらの暗示的な導きの方がすんなり入るな。
女性の高学歴化によって命令する母親が増えるなんて、なんだかがっかり。

子どもの価値の変化、相対的なもの。
子どもは「授かる」ものより人が選択して「つくる」もの。
社会的価値義務から個人的な価値へ移行

そういえばわたしは以前こんなことをtweetしてた。

「こどもは宝だ、光だ、希望だ」とよくいうけれど、
昔はきれいごとにきこえてしまってたの。
でも首都圏に来て、
過疎化した地元では到底見られないほどたくさんのこどもを見て、
わたしは何度も何度も命拾いをしたと思うのです。
おおげさではなく。
それほど、こどもには何か得も言われぬパワーがある。
「子どもは将来高齢者を支えるために重要な存在」ってのももちろん分かるけど、
もっと身近でもっとリアルに、もっと単純でもっと刹那的な気持ちで、
こどもは宝です。光です。希望です。今のわたしは、そう思います。

わたしはこの気持ちを忘れないと思うな。
子どもの価値は社会情勢や個人のライフステージによっても変化するだろうけど、
やっぱり子どもの存在は悪い方への位置づけにはならないだろな。

稚拙ですが、めもめも。